もくじ
はじめに|なぜ「育て方」に悩む上司が増えているのか
教えたのに成長しない?その理由は“学び方”のズレかも
部下を育てたいと思っても、「何度言っても同じミスを繰り返す」「指示待ちで主体性がない」と感じている上司は少なくありません。実は、その背景には“教える側”と“学ぶ側”の認知のズレがあります。特に福祉現場では、状況に応じた判断や対応力が求められるため、ただ教えるだけでは成果が出にくいのです。そこで注目されているのが「モニタリング学習」というアプローチです。
モニタリング学習とは?|“気づき”を育てる新しい学びのかたち
「見て」「考えて」「修正する」力を伸ばす
モニタリング学習とは、自分の行動や考えを振り返りながら修正していく“内省型の学習法”です。単なる知識の習得ではなく、「自分で自分の学びをコントロールする力(メタ認知)」を育てることが目的です。以下のようなステップで進行します。
- 行動・対応を振り返る
- どこでつまずいたかを認識する
- 改善点や工夫を考える
- 次回に活かす
この繰り返しが、自走できる力・応用できる力を育てていきます。

モニタリング学習を部下育成に活かす方法
「指導者」が“フィードバックの質”を高めることがカギ
モニタリング学習を効果的に進めるには、上司(育成者)の関わり方が重要です。以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 振り返りの時間を設ける:業務の合間や終了後に「どんな工夫をした?」「うまくいった点・いかなかった点は?」などの問いかけをする。
- 評価ではなく観察と共感を:結果の良し悪しではなく、考え方やプロセスに注目。「その視点いいね」と肯定的な言葉をかける。
- 記録して共有する:本人の振り返り内容を簡単なメモや日報に残すことで、成長を“見える化”し、周囲との共有もしやすくなる。
現場での導入事例|小さな実践からはじめよう
日々の業務に“ふり返りの習慣”を組み込む工夫を
モニタリング学習は、すぐに特別な研修や仕組みを導入しなくても、日々のマネジメントの中で手軽に取り入れることができます。ここでは現場で実践しやすい導入アイデアを3つ紹介します。
業務終了時に「自分で振り返る5分間タイム」
業務の終わりに、部下がその日の行動や判断を自分でふり返る5分間を設けます。「何がうまくいったか」「次に活かしたいことは何か」などを記録したり共有したりすることで、自己モニタリング力を養います。
上司との「ミニ1on1」で“考えを言語化する”機会を
週に1回5〜10分でも、上司と部下が「今どんなことを意識して取り組んでいるか」「最近の気づきは?」などについて話す機会を持ちます。フィードバックではなく、部下に語らせることで思考の整理と自律的成長を促します。
週1回の“気づき共有”ミーティング
チーム全体で週1回「気づき」や「工夫」をシェアするミーティングを実施。自分の行動を言葉にするだけでなく、他者のモニタリングの視点にも触れることで、学びの相互作用が生まれます。

まとめ|モニタリング学習で「教えるから育てる」へ
指導のスタイルを変えることで、育成の質が変わる
部下育成で重要なのは、“やり方を教える”こと以上に、“考え方を育てる”ことです。モニタリング学習は、部下自身の内省力を育てることで、応用力や自己成長力を引き出す手法です。「育てる力」を持つ上司になるために、まずは小さな問いかけと振り返りの習慣から始めてみませんか?