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部下育成に悩む上司へ!モニタリング学習で育成力を高める方法

部下育成に悩む上司へ!モニタリング学習で育成力を高める方法

はじめに|なぜ「育て方」に悩む上司が増えているのか

教えたのに成長しない?その理由は“学び方”のズレかも

部下を育てたいと思っても、「何度言っても同じミスを繰り返す」「指示待ちで主体性がない」と感じている上司は少なくありません。実は、その背景には“教える側”と“学ぶ側”の認知のズレがあります。特に福祉現場では、状況に応じた判断や対応力が求められるため、ただ教えるだけでは成果が出にくいのです。そこで注目されているのが「モニタリング学習」というアプローチです。

相談支援専門員のフィールドレポート|“教える”をやめたら、部下が育ち始めた

1on1ミーティングが“報告の場”に変わった理由

「教えることは、育てることの入り口にすぎない。」

就労継続支援B型でサービス管理責任者をしていた頃、部下との1on1ミーティングを毎週行っていました。

けれど、毎回のように似たようなミスの相談が続き、なかなか状況が変わらないことにモヤモヤを感じていました。

そのたびに私は、できる限り丁寧にアドバイスを返していました。どこが問題で、どう対応したらいいかを一緒に整理し、具体策も提示していたつもりです。

それでもまた翌週、同じような報告が返ってくるのです。

ある日ふと、「もしかして、私が全部“答え”を言ってしまっているのでは?」と気づきました。

その後、研修で学んだ「モニタリング学習」の概念が、まさに今の状況に必要だと感じたのです。

そこから私は、1on1ミーティングのスタイルを変えることにしました。

「どんなふうに考えた?」「その結果どうだった?」「次はどうしてみたい?」と、こちらからのアドバイスを控え、部下の思考を引き出す問いかけを増やしました。

最初は戸惑いもありましたが、数週間後、部下の言葉が少しずつ変わっていきました。

「〇〇の場面で、前と同じミスをしそうだったけど、こうやって工夫しました」

「今回の気づきは次にも活かせそうです」

“相談”だった1on1が、“報告とふり返り”の場に変わっていったのです。

これは、指導スタイルを少し変えただけで、部下の思考の質が高まった証拠だと感じました。

気づいてみれば、アドバイスを与えることは、短期的には楽ですが、長期的には自立の芽を摘んでしまうこともあるのだと実感しています。

モニタリング学習のような内省型のアプローチは、支援の場面でも、職員育成の場面でも、非常に有効な方法だと感じています。

相談支援専門員のフィールドレポート|“教える”をやめたら、部下が育ち始めた
教えることは、育てることの入り口にすぎない。

モニタリング学習とは?|“気づき”を育てる新しい学びのかたち

「見て」「考えて」「修正する」力を伸ばす

モニタリング学習とは、自分の行動や考えを振り返りながら修正していく“内省型の学習法”です。単なる知識の習得ではなく、「自分で自分の学びをコントロールする力(メタ認知)」を育てることが目的です。以下のようなステップで進行します。

  • 行動・対応を振り返る
  • どこでつまずいたかを認識する
  • 改善点や工夫を考える
  • 次回に活かす

この繰り返しが、自走できる力・応用できる力を育てていきます。

モニタリング学習とは?|“気づき”を育てる新しい学びのかたち
行動・対応を振り返る
どこでつまずいたかを認識する
改善点や工夫を考える
次回に活かす

モニタリング学習を部下育成に活かす方法

「指導者」が“フィードバックの質”を高めることがカギ

モニタリング学習を効果的に進めるには、上司(育成者)の関わり方が重要です。以下の3つのポイントを意識しましょう。

  1. 振り返りの時間を設ける:業務の合間や終了後に「どんな工夫をした?」「うまくいった点・いかなかった点は?」などの問いかけをする。
  2. 評価ではなく観察と共感を:結果の良し悪しではなく、考え方やプロセスに注目。「その視点いいね」と肯定的な言葉をかける。
  3. 記録して共有する:本人の振り返り内容を簡単なメモや日報に残すことで、成長を“見える化”し、周囲との共有もしやすくなる。
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現場での導入事例|小さな実践からはじめよう

日々の業務に“ふり返りの習慣”を組み込む工夫を

モニタリング学習は、すぐに特別な研修や仕組みを導入しなくても、日々のマネジメントの中で手軽に取り入れることができます。ここでは現場で実践しやすい導入アイデアを3つ紹介します。

業務終了時に「自分で振り返る5分間タイム」

業務の終わりに、部下がその日の行動や判断を自分でふり返る5分間を設けます。「何がうまくいったか」「次に活かしたいことは何か」などを記録したり共有したりすることで、自己モニタリング力を養います。

上司との「ミニ1on1」で“考えを言語化する”機会を

週に1回5〜10分でも、上司と部下が「今どんなことを意識して取り組んでいるか」「最近の気づきは?」などについて話す機会を持ちます。フィードバックではなく、部下に語らせることで思考の整理と自律的成長を促します。

週1回の“気づき共有”ミーティング

チーム全体で週1回「気づき」や「工夫」をシェアするミーティングを実施。自分の行動を言葉にするだけでなく、他者のモニタリングの視点にも触れることで、学びの相互作用が生まれます。

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ただの経験で終わらせない。福祉現場の支援力を高める“振り返り=リフレクション”のコツを紹介。1on1やチーム内共有にも活かせます。

まとめ|モニタリング学習で「教えるから育てる」へ

指導のスタイルを変えることで、育成の質が変わる

部下育成で重要なのは、“やり方を教える”こと以上に、“考え方を育てる”ことです。モニタリング学習は、部下自身の内省力を育てることで、応用力や自己成長力を引き出す手法です。「育てる力」を持つ上司になるために、まずは小さな問いかけと振り返りの習慣から始めてみませんか?

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この記事を書いた人

福祉の世界に飛び込んだのは、まったくの未経験から。それでも気づけば15年以上──就労継続支援B型・A型、就労移行支援を渡り歩き、職業指導員・生活支援員・管理者・サービス管理責任者を経て、いまは社会福祉法人で相談支援専門員として働いています。途中で社会福祉士資格も取得しました。

多様な立場で現場を見てきたぶん、「働きづらさ」や「支援の悩み」のリアルに共感できます。だからこそ、このブログでは “支援の質を高めながら、仕事をラクにおもしろくするヒント” をお届け中。ICTツールやちょっとした工夫で、明日の現場が少しでも軽くなる──そんなアイデアを発信しています。

趣味は若手お笑い芸人の追っかけ。無名の芸人さんが化けていく瞬間にワクワクするんです。福祉の現場にも、同じように輝く“原石”がたくさんいるはず。そんな人たちが自分らしく光る職場づくりを、一緒に考えていけたらうれしいです。

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