業務効率化

“忙しすぎる福祉職”を救うカイゼン術|ムリ・ムダ・ムラを減らすトヨタ生産方式の考え方とは?

“忙しすぎる福祉職”を救うカイゼン術|ムリ・ムダ・ムラを減らすトヨタ生産方式の考え方とは?

はじめに|「生産性向上」は福祉現場でも無関係ではない

忙しすぎる現場に必要なのは“効率化”という視点

「支援の質は下げたくないけど、毎日忙しすぎる」「人手が足りないのに、やらなきゃいけないことが多すぎる」。福祉現場でそんな声が上がるのは珍しくありません。

とはいえ、「福祉に生産性なんて…」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、生産性を高めることは“支援の質を守りながら働きやすい職場をつくる”ために欠かせない視点です。

そこで注目したいのが、製造業で有名な「トヨタ生産方式」です。ムリ・ムダ・ムラをなくすという考え方は、実は福祉の現場にも応用できるのです。

トヨタ生産方式とは?ムリ・ムダ・ムラの考え方

生産現場で培われた改善の知恵

トヨタ生産方式とは、自動車製造の現場で生まれた生産性向上のための手法です。その中心にあるのが、
「ムリ(無理)」「ムダ(無駄)」「ムラ(ばらつき)」という3つのム。

ムリ・ムダ・ムラの考え方
ムリ:人や設備に過剰な負荷がかかっている状態
ムダ:価値を生まない作業や時間、物の動き
ムラ:業務のばらつき、作業品質や手順の不統一
  • ムリ:人や設備に過剰な負荷がかかっている状態
  • ムダ:価値を生まない作業や時間、物の動き
  • ムラ:業務のばらつき、作業品質や手順の不統一

この3つを見える化し、なくしていくことが、効率と品質を同時に高めるポイントになります。

福祉現場の「ムリ」:がんばりすぎてない?

業務の集中と休憩時間の削減に注意

福祉職員は「頑張ることが当たり前」になりやすく、無理が積み重なりやすい傾向にあります。たとえば、

  • 人手不足で1人に多くの仕事が集中
  • 担当業務を断れない雰囲気
  • 自分の休憩時間を削って業務を回している

これらはすべて「ムリ」のサインです。持続可能な支援を行うには、業務の割り振りや仕組みを見直すことが必要です。

福祉現場の「ムダ」:実は必要ない作業とは?

二重作業や非効率な運用を見直す

意外と見落とされがちなのが「ムダ」。例えば、

  • 二重帳票(紙でもデジタルでも同じ内容を記録)
  • 毎回手書きしている掲示物や予定表
  • 共有されないメモや伝達の抜け漏れ

これらは日々の小さなストレスになり、積み重なると職場全体の効率を下げます。ICTやテンプレートの活用、業務フローの簡略化などで「本当に必要な仕事」だけに集中できる環境を目指しましょう。

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福祉現場の「ムラ」:誰がやっても同じになる仕組み

属人化を防ぎ、支援の一貫性を保つ

「この人がいないとできない」「あの人だけが知っている」。こうした属人化は、現場のばらつき=ムラの原因になります。

  • 引き継ぎがうまくいかない
  • 介助のやり方が職員によって違う
  • 利用者への対応に一貫性がない

「誰がやっても同じようにできる」ように、マニュアルの整備やOJTの見直しが有効です。また、日々の1on1ミーティングやケース会議などで共通認識を高めることも重要です。

「仕組み」で変わる。福祉現場の生産性向上のヒント

小さな改善が、大きな変化につながる

ムリ・ムダ・ムラをなくすには、「頑張り」ではなく「仕組み」で変えていくことが大切です。小さな改善を積み重ねることで、業務の質を下げることなく効率化が可能になります。

生産性向上のヒント
情報共有の見える化(デジタルツールの活用)
業務フローの見直し(現場からの声を反映)
「気づき」を出し合える会議体の設置
  • 情報共有の見える化(デジタルツールの活用)
  • 業務フローの見直し(現場からの声を反映)
  • 「気づき」を出し合える会議体の設置
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支援の質と職員の働きやすさを両立するために、“効率化=悪”という思い込みを捨て、ポジティブな業務改善に取り組んでいきましょう。

まとめ|福祉現場にも“改善”の視点を

まずは「見える化」から始めよう

「人手が足りないからしょうがない」と諦めるのではなく、まずは今ある業務に「ムリ・ムダ・ムラ」が潜んでいないかを見直すことから始めましょう。

トヨタ生産方式の知恵を活かせば、福祉現場ももっと働きやすく、支援に集中できる環境に変えていくことができます。

シンパ、現場直送!福祉HACK
シンパ(@sinpa_fukushi)

この記事を書いた人

福祉の世界に飛び込んだのは、まったくの未経験から。それでも気づけば15年以上──就労継続支援B型・A型、就労移行支援を渡り歩き、職業指導員・生活支援員・管理者・サービス管理責任者を経て、いまは社会福祉法人で相談支援専門員として働いています。途中で社会福祉士資格も取得しました。

多様な立場で現場を見てきたぶん、「働きづらさ」や「支援の悩み」のリアルに共感できます。だからこそ、このブログでは “支援の質を高めながら、仕事をラクにおもしろくするヒント” をお届け中。ICTツールやちょっとした工夫で、明日の現場が少しでも軽くなる──そんなアイデアを発信しています。

趣味は若手お笑い芸人の追っかけ。無名の芸人さんが化けていく瞬間にワクワクするんです。福祉の現場にも、同じように輝く“原石”がたくさんいるはず。そんな人たちが自分らしく光る職場づくりを、一緒に考えていけたらうれしいです。

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