もくじ
はじめに|“見方”が変われば、関係性も変わる
福祉職にこそ求められる“言葉の力”
福祉の仕事では、日々のコミュニケーションが支援の質に直結します。ちょっとした声かけひとつで、相手の安心感が大きく変わる場面も少なくありません。そこで注目したいのが「リフレーミング」という考え方です。
リフレーミングとは、出来事や人の見え方を“別の視点”から捉え直す方法のこと。マイナスに見える出来事も、枠(フレーム)を変えて捉えることで新しい意味や価値が生まれます。心理学やコーチングでも活用されており、福祉現場では支援やチームコミュニケーションに大きな力を発揮します。
この記事では、福祉従事者が現場で活用しやすい「リフレーミング」の基本から、実際の使い方、現場での言い換え例までを紹介します。
リフレーミングとは?
見え方を“変える”だけで、世界が変わる
リフレーミングは、特定の出来事や人の言動について、新しい視点から意味づけをし直す考え方です。
たとえば、「頑固な人」と感じていた利用者を「信念を持っている人」と見方を変えたとき、対応の仕方や気持ちが変わることがあります。
このように、枠を変えて物事を見直すことで、対人関係のストレスや誤解を減らし、支援の質を高めることができます。

福祉従事者こそ実感する“リフレーミング”の効果
実例から見る「支援の見方」の変化
リフレーミングは福祉現場だけでなく、ビジネスや教育など人と関わるすべての現場で活用できます。特に「対人関係のストレス」「指導や育成がうまくいかない」「メンタルヘルスの低下」などの課題に対して、ポジティブな視点を持つことで、関係の質が大きく変わるのです。
たとえば、福祉職の現場でよくある以下のような場面でリフレーミングが効果を発揮します。
実例1:すぐに不安がる利用者
【ネガティブな見方】神経質で面倒くさい
【リフレーミング】それだけ職員を信頼し、安心を求めている
実例2:意見をはっきり言う職員
【ネガティブな見方】協調性がない
【リフレーミング】物事を率直に伝えられる貴重な存在
実例3:仕事が遅い新人職員
【ネガティブな見方】要領が悪い
【リフレーミング】丁寧で慎重に仕事を進めようとしている
実例4:感情的な利用者対応
【ネガティブな見方】対応が雑
【リフレーミング】感情に寄り添おうとした熱意の表れ
実例5:マイペースな利用者
【ネガティブな見方】周囲に合わせない
【リフレーミング】自分のペースで安心して行動できている
リフレーミングの言い換え集
現場で“そのまま使える”声かけ例
リフレーミングは言葉がカギになります。以下は、現場ですぐに使える言い換えの例です。
- 「慎重なんだね」→「丁寧で確認を怠らないってすごい」
- 「せっかちだね」→「決断が早くて頼りになる」
- 「わがままに見える」→「自分の意見をはっきり伝えられる」
- 「マイペースすぎる」→「自分のリズムを大切にしている」
- 「頑固だなあ」→「信念を持っているんだね」
- 「不器用だね」→「一生懸命さが伝わってくる」
- 「優柔不断」→「多角的に物事を見ようとしている」
- 「暗い」→「落ち着いていて安心感があるね」
- 「おしゃべり」→「会話を盛り上げるのが上手だね」
- 「怒りっぽい」→「感情をしっかり表現できるのは強みだね」
- 「消極的」→「周囲をよく見て行動しているね」
- 「忘れっぽい」→「新しいことにどんどん挑戦してる証拠だね」
支援力が高い人は利用者さんの言葉をいい感じにリフレーミングして返しますよね。
ナラティブアプローチの視点と組み合わせとても効果的なスキルですね。
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小さな言い換えが職場を変える力に
リフレーミングは「やさしい職場」づくりの第一歩
ネガティブな言葉や評価が飛び交いやすい現場だからこそ、ポジティブな言い換えの力は大きな意味を持ちます。職員同士でリフレーミングの視点を持ち合えば、お互いを認め合える土壌が育ち、結果として支援の質も向上します。
大切なのは、「良く見せようとすること」ではなく、「その人の価値や強みに目を向けること」。小さな言い換えが、やさしい空気と信頼の輪を広げていきます。

まとめ|“見方”を変えると、関係性も変わる
今日からできる、やさしい一歩を
リフレーミングは、特別なスキルではありません。目の前の人の“見方”を少しだけ変えるだけで、関係性がぐっとやさしくなります。
福祉の現場で日々奮闘する皆さんにこそ、ぜひ活用してほしい考え方です。まずは一つの言葉、一つの視点から始めてみてください。支援にもチームにも前向きな変化が生まれます。