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福祉職のストレス対策に!レジリエンスを高めるセルフケア実践術

福祉職のストレス対策に!レジリエンスを高めるセルフケア実践術

はじめに|“折れない心”はスキルで育てられる

ストレスを抱えやすい仕事だからこそ「自分を守る力」が必要

福祉・介護・医療などの対人援助職は、利用者や家族との関わりの中で喜びと同時にストレスを抱えやすい仕事です。離職理由の上位には「精神的負担」「燃え尽き」が挙げられ、メンタルヘルス対策は組織だけでなく個人にも欠かせません。この記事では、セルフで取り組めるレジリエンス(回復力)向上の方法を中心に、ストレスマネジメントの実践アイデアを紹介します。

レジリエンスとは?|折れずにしなやかに戻る心の力

「回復力」だけじゃない、レジリエンスの本質とは

レジリエンスは「逆境やストレスから素早く回復し、学びを得て成長する力」と定義されます。対人援助職においては、感情労働・長時間勤務・責任の重さが重なりやすく、自分でレジリエンスを鍛えることが求められます。

レジリエンスを構成する主な要素

レジリエンスを構成する主な要素
自己効力感:自分なら乗り越えられるという感覚 感情調整力:ネガティブ感情を客観視し、コントロールする力 楽観性:未来へのポジティブな期待 サポート活用力:必要なときに周囲へ助けを求められる力 意味づけ力:困難から学び、成長につなげる視点
  1. 自己効力感:自分なら乗り越えられるという感覚
  2. 感情調整力:ネガティブ感情を客観視し、コントロールする力
  3. 楽観性:未来へのポジティブな期待
  4. サポート活用力:必要なときに周囲へ助けを求められる力
  5. 意味づけ力:困難から学び、成長につなげる視点

なぜ対人援助職にレジリエンスが必要か

支援者の心のケアは、支援の質にも直結する

対人援助職は「人のために」という使命感から、自分のストレスや疲労を後回しにしがちです。しかし、支援者自身が心身ともに健康でなければ、良質な支援は持続できません。レジリエンスを高めることは、単に自分を守るだけでなく、支援のパフォーマンスや信頼性を保つためにも重要です。自分を大切にすることが、結果として利用者にとっても最善の支援につながります。

  • 感情労働の負荷:利用者の感情に寄り添い続けると、自分の感情がすり減りやすい
  • 突発的な出来事:事故・クレームなど予期せぬストレス要因が多い
  • 責任と葛藤:倫理的ジレンマや多職種連携での摩擦が生じやすい

レジリエンスを高めることで、ストレス耐性と回復スピードが向上し、燃え尽き症候群の予防につながります。

セルフでできるレジリエンス強化エクササイズ

毎日の習慣に取り入れて、しなやかな心を育てる

レジリエンスは一朝一夕で身につくものではありません。だからこそ、日々の生活の中で少しずつ積み重ねていくことが大切です。ここでは、簡単に始められて継続しやすいエクササイズを紹介します。

レジリエンス強化エクササイズ ABCモデルでセルフモニタリング スリーグッドシングス(感謝日記) 4‑7‑8呼吸法で自律神経をリセット マイクロ・ストレッチ&散歩 ミニ目標リフレクション サポートネットワークを可視化

ABCモデルでセルフモニタリング

  • A(Activating event): ストレスの引き金
  • B(Belief): その出来事に対する捉え方
  • C(Consequence): 感情・行動の結果

自分の思考パターンを紙に書き出し、非合理的な思い込みに気づく習慣をつける。

スリーグッドシングス(感謝日記)

就寝前に「その日良かったこと」を3つメモ。ポジティブ感情の蓄積が楽観性を育てます。

4‑7‑8呼吸法で自律神経をリセット

4秒吸って7秒止め、8秒で吐く深い呼吸を3セット。短時間で心拍数が安定し、感情調整に効果的。

マイクロ・ストレッチ&散歩

30分に一度、首・肩のストレッチをし、可能なら5分の屋外歩行。身体を動かすことでストレスホルモンを低減。

ミニ目標リフレクション

週初めに「今週の小さな挑戦」を設定→週末に達成度を振り返り、自己効力感を強化。

サポートネットワークを可視化する

  1. 紙に「自分」を中心に描き、家族・友人・同僚・専門機関などの支援源を円で配置。
  2. 頼れるテーマ(相談・息抜き・学び)を付箋で貼り、困ったときの“連絡先マップ”に。

可視化することで「助けを求めるハードル」が下がり、孤立を防げます。

メンタルが崩れる前にできること|早期セルフチェック

小さなサインを見逃さない“気づき”が第一歩

ストレスによる不調は、突然大きく現れるのではなく、日々の中に小さな兆しとして現れます。だからこそ、「まだ大丈夫」と無理をする前に、自分の変化に気づき、立ち止まることが大切です。

セルフチェックでは、「いつもと違う自分」を意識的に観察する視点を持ちましょう。体調や気分の波、思考パターン、行動の変化など、ちょっとした違和感も“自分からのサイン”です。無理に評価せず、気づいたことをそのまま認めるだけでも、ストレスとの付き合い方が変わってきます。

定期的に振り返ることで、心身のメンテナンスができ、深刻化を防ぐことができます。

サイン具体例対処のヒント
情緒の揺れイライラ・涙もろさ深呼吸・感謝日記・十分な睡眠
身体症状頭痛・肩こり・不眠ストレッチ・入浴・専門医相談
認知のゆがみ全否定的思考ABCモデルで思考を書き換え
行動変化遅刻増・趣味なし同僚に相談・休暇取得・運動習慣

まとめ|自分を守るセルフケアが“良い支援”につながる

明日からできる一歩を、自分のために

レジリエンスは「特別な訓練を受けた人だけが持つ力」ではありません。小さなセルフケアの積み重ねこそが、未来の自分を守る力となります。呼吸法やスリーグッドシングスなど小さな習慣を取り入れ、ストレスに気づき早めに対処することで、離職リスクを下げ、質の高い援助を提供し続けることができます。今日できることから一つ、行動に移してみませんか?今日からできるアクションを一つ選び、実践してみましょう

シンパ、現場直送!福祉HACK
シンパ(@sinpa_fukushi)

この記事を書いた人

福祉の世界に飛び込んだのは、まったくの未経験から。それでも気づけば15年以上──就労継続支援B型・A型、就労移行支援を渡り歩き、職業指導員・生活支援員・管理者・サービス管理責任者を経て、いまは社会福祉法人で相談支援専門員として働いています。途中で社会福祉士資格も取得しました。

多様な立場で現場を見てきたぶん、「働きづらさ」や「支援の悩み」のリアルに共感できます。だからこそ、このブログでは “支援の質を高めながら、仕事をラクにおもしろくするヒント” をお届け中。ICTツールやちょっとした工夫で、明日の現場が少しでも軽くなる──そんなアイデアを発信しています。

趣味は若手お笑い芸人の追っかけ。無名の芸人さんが化けていく瞬間にワクワクするんです。福祉の現場にも、同じように輝く“原石”がたくさんいるはず。そんな人たちが自分らしく光る職場づくりを、一緒に考えていけたらうれしいです。

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